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快晴78 シンプル化

11月 30th, 2016

いつもありがとうございます。

紆余曲折はありましたが気が付くとテニスコーチを職業としてから15年以上になります。コーチングのプロフェッショナルとして私が心掛けていることは「具体的でわかりやすいアドバイス」を行うということ。ありきたりで当然のことだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが私の知る限りその当たり前の指導ができるテニスコーチはかなり少ないように感じます。そうでないコーチングとは生徒の現状、許容量を考えないで目についたポイントをすべて浴びせるパターン。もしくは生徒が喜ぶからとぐちゃぐちゃなフォームのままラリーやゲームをやらせてワイワイ盛り上げるだけのパターンなどです。

あらゆるレベル、年齢層の方々をコーチングさせてもらいましたが最もコーチング力が問われるのはある程度フォームも整いラリーや試合が楽しめる中級者やどんな練習ドリルにも対応してくれる上級者ではなくいわゆるビギナーの方々です。これは大人にもジュニアにも当てはまることで初心者クラスを任せても安心できるコーチこそが力量が高くて信頼できるプロフェッショナルと言えます。

では一体初心者の方々を指導する際のポイントはどこにあるのでしょう。一言でいうと「テニスは簡単にできる」と思い込ませることができるかということ。やり易いことから順番に提供できるかということです。あれこれと細かい要求を一遍にすると生徒はパンクします。かといって自由にラリーやゲームをいきなりさせてもフォームはばらばらで上達しているという感覚を得ることは難しい。となると重要なのは必要最低限のポイント(しばり)を具体的に提示してそれを繰り返し強調するということです。グループレッスンの場合は一人一人の状態、許容量がまちまちなのでその人にとって優先順位の高いポイント(しばり)を見極めて差し出していかなければいけません。

テニスは回数を重ねて経験が増えてくるほど上手になっていくのが当たり前だと思いがちですが実際はそうとは限りません。新しい知識をおぼえてあれこれと様々なアドバイスを受けていくにしたがってポイントが散漫になり不安定な状態に陥ることは珍しいことではないのです。

私が今関心を持って学んでいるのはメンタルトレーニングという分野ですがその中で頻繁に登場してくるのが「脳」の働き、役割です。そこで大変興味深かったのは一般プレーヤーとトップアスリートの脳神経回路の発達状況。私の予測ではトップアスリートの脳内神経回路は一般プレーヤーに比べて複雑に発達しているものだろうと考えていました。ところが驚いたことにトップアスリートの脳内神経回路は訓練を積み重ねていくほど複雑な状態からシンプルな状態へと変化していたのです。回路同士が繋がり合ってより経路が限定されていくということは何を意味しているのでしょう。

優れたコーチングとは複雑に見える状態を「シンプル化」して相手に提供すること。プレーヤー自身も絶えず浴びせられる情報やアドバイスに対して余計なものは省き必要なものをピックアップするといった作業を怠っていてはなかなか進歩できません。

とくに現代のような情報過多の時代においては最新情報をいかに速く、大量に集められるかに関心が集まりますがそのことが起こす弊害にはなかなか気が回らないもの。大事な幹をしっかり育てられるかは「シンプル化」できるかどうかがキーポイントになってくるのではないか。人間が備える器官のなかで最も繊細な領域である脳がそれを教えてくれているような気がします。

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